ビジネスとマーケティングの上り坂
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こんにちは、西です。
あなたは、「おもてなし」という言葉をご存知でしょう。
そう、東京オリンピックの誘致のプレゼンで、フリーアナウンサーの滝川クリステルが
「お・も・て・な・し」
と言って話題を集めた、アレのことです。
さて、この誰もが知っている有名な言葉、あなたは、自分自身のなかで、どのような意味だと定義しているでしょうか。
私は、何人かの知人に質問してみました。その回答は以下のようなものでした。
「丁寧に対応すること」
「心からサービスを行うこと」
「細やかに気を遣うこと」
どれも一理なるなぁ・・・と思わせる回答ですね。
一方で、「丁寧に」「心から」「細やかに」と、いずれも抽象的な表現であることが、ちょっと気になります。
ちなみに、「おもてなし」に相当する英語は「hospitality」と言われますが、英和辞典でhospitalityを調べたところ、「厚遇, 歓待, 心のこもったサービス」と訳されていました。
ここまで総合すると、なんとなく「おもてなし=上級のサービス」と言っているような気がします。
それはそれで分かる気もしますが、それだけでは「おもてなしの本質」をとらえていないと、私は考えています。
「手間をかける」から、感動する?
さて、実は私には、おもてなしに対する明確な定義があります。
それは、
「おもてなしとは、ひと手間、ふた手間かけること」
というものです。
実は、おもてなしを受けた人々が何に感動するのか、それを考えれば分かります。
たとえば、ある温泉街に、おもてなしで有名な老舗旅館があり、そこに若女将がいたとします。
その温泉旅館は、1年中いつ行っても大盛況。もちろん、若女将も、ずっと忙しいに決まっています。
しかし若女将は、そんな忙しい合間を縫って、常連のお客様に1枚1枚美しい手書きでお礼状を書いています。
なぜ若女将は手間暇をかけて、手書きでお礼状を書くのでしょうか?
常連さんに感謝の気持ちを伝えることが目的であれば、Eメールを利用すると、お金もかからず、一斉に配信ができるので、一番合理的です。
さすがにEメールでは味気ないというのであれば、印刷したお礼状にすれば、1枚ずつ書くより手間は省けるはずです。
手書きより素晴らしく見栄えのする印刷デザインだって、いくらでもあるでしょう。
しかし、それでも、若女将は1枚1枚、時間をかけて、手書きでお礼状を書きあげます。
そして、そのお礼状を手にした、常連のお客様は
「あの忙しい若女将が、私のために時間をかけて、こんな素晴らしいお礼状を送ってくださった」
と感動します。
人々は、「自分のために、こんなに手間をかけてもらった」ということに感動するのです。
いかがでしょうか。
誰にとっても大切な時間、それを相手のために費やすからこそ、相手は感動します。
それが、おもてなしの本質です。
つまり、おもてなしには「効率化する」という考え方はありません。
ここまで読まれてお分かりのとおり、他の業務やプロセスは効率化して、その分、おもてなしに費やす時間や手間を最大化する・・・
それだけが、競争が激しい環境で生き残っていく企業がなすべきことではないでしょうか。
SMARTな おもてなしを
「おもてなしとは、ひと手間ふた手間かけること」
と説明しましたが、そもそも、おもてなしの目的とは何でしょうか?
それは、「お客様に感動的な体験(経験)をしてもらう」ことです。
感動的な体験の中身は、業種によって違うかも知れませんし、また、おもてなしを提供する側のアイデア次第でもあります。
「どんなおもてなしをするか」・・・それを一生懸命考えることから、おもてなしは始まっていると言えるかも知れません。
とは言え、漠然と「手間ひまをかける」といっても、いたずらに時間だけが過ぎていくことは避けたいものです。
つまり、おもてなしにも、目標管理が必要だということです。
ここで、私は「SMARTな おもてなし」を提案します。
SMARTとは、よりよい目標設定をするための法則です。
具体的には、
(1)Specific : 具体的な目標とする
(2)Measurable : 定量的に測定できるようにする
(3)Achievable : 現実的な目標とする
(4)Result-oriented : 成果に貢献する目標とする
(5)Time-bound : 期限を設定する
の5つを満たすべきである、というのがSMARTの法則の主張です。
先ほどの若女将の例で言えば、
(1)具体的→手書きでお礼状を書く
(2)定量的→1枚あたり5分程度かけて、500枚
(3)現実的→2週間あれば、達成可能
(4)成果貢献→お客様に感動してもらえる
(5)期限→今月末まで
のように、具体的なアクションレベルまで落とし込みができます。
目標設定というと、どうしても効率化前提かと考えがちですが、そうではなく、ここでは「お客様一人あたりにかける十分な時間はどの程度か」を考慮し、1枚のお礼状作成に5分という目安を設定しています。
ただ単に「500枚お礼状を書く」だと、時間が短縮できればよい、とされがちですが、本来の「おもてなし」という目標を見失わなければ、
「お客様おひとりに、どの程度手間をかける余裕があるのか」
という観点から目標設定をすることも可能です。
どんな仕事にも、提供する相手がありますから、
「すべての仕事は、おもてなし」
と考えることもできます。
効率化だけでなく、「どの程度手間をかけるか」を目標に組み込めば、あなたの仕事もさらにワンランクアップするかも知れませんね。
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