ビジネスとマーケティングの上り坂
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こんにちは、西です。
かなり前に購入した本で、積読状態になっていたのですが、思い立ったことがあり、一通り読みました。
著者によると、この本は、「おもにインターネットを用いて広く事業を行う企業、俗に言う『ネットベンチャー』で現在働いているか、これから働こうと考える二十代や三十代の若者を対象として、ネットベンチャーならではの働き方や、押さえておくべきさまざまな知識を紹介」しているとのことです。
一方で、「本書の最大の特徴は、ジャーナリストや評論家、教育者でもない、まぎれもなく起業家である筆者自身によるベンチャー企業のインサイド情報である」とも書かれています。
著者が言うように、本書は「ネットベンチャー」の全体像を押さえるには最適だと思います。また、ネットベンチャーの経営者が執筆していることもあり、その情報も信憑性が高いと思います。
ただ、「総合的ガイドブック」的な切り口と、「経営者自身の熱意が伝わるインサイド情報」の切り口の両立というのは、なかなか難しいものだと思いますし、本書においては、著者自身の言葉で書かれた部分も散見されるものの、どちらかと言えば、「総合的ガイドブック」的な切り口が勝っているように思います。
例えば、もう少し「著者自身の仕事の内容、取り組み」などのファクトがあった方が、さらに臨場感が伝わるのではないか、と思います。
まぁ、そこは「属人的な話ではなく、再現可能な・普遍的な話が聞きたい」というニーズも多いでしょうから、この本の採用した立ち位置が、現在の内容である、と言われれば、それはそれで同意できます。
さて、内容については、先にも書いた通り、「これからネットベンチャーで働きたいと思っている若者」など、ネットベンチャーの全体像を知りたい方には最適なものとなっています。
ネットベンチャーで働くメリット/デメリットについても、どちらに偏る訳でもなく、十二分に記載されています。
一方で、「ネットベンチャー」の定義や「中小企業との比較」については、私の職業柄(中小企業診断士)から、少し首を傾けざるを得なかった部分もあります。
例えば、
「ベンチャー企業=ネット企業」といってもいいくらいかも知れません。
という表現や、
「ベンチャーと自営業または中小企業との差異」が、大きく分けて3つあるとし、それは
①拡大戦略を描いているか
②出口(イグジット)を意識しているか
③社会を変えたいという強い想いがあるか
とされていますが、
これはやはり、著者自身が「ネットベンチャー経営者である」ことによるひいき目でしょう(笑)
特に③が「ベンチャーにあるもので、自営業または中小企業にないもの」なんて世の中でおおっぴらに言ったら、怒られます。
以上のように気になるところもありましたが、あとは概ね、バランス良く書かれていると思います。
私が特に印象に残った言葉として、「ピボット」という言葉があります。
エクセルなんかで良く使う言葉として覚えている方も多いと思いますが、「軸回転」という意味です。
「ベンチャーにおけるピボットとは、事業でなかなか芽が出ないときに、それまでやっていたビジネスモデルを捨て去り、まったく異なる新しい領域に一気に踏み出すこと」だそうです。
ミクシーもグリーもディーエヌエーも、みなピボットをやって拡大したのだそうです。
本当に変化の激しい業界であることが分かりますよね。
そしてまた、この本を読んだ現在、これら3社とも岐路にあることは、ご存知の通りです。
ベンチャーから大企業へと一躍成長した現在でも、まったく気が抜けないという点では同じですね。
そんな厳しさを、ひしひしと感じながら読み進めました。
あと、この本の中で、「ぽんと膝を打ちたくなる」一節がありましたので、最後にご紹介いたします。
『カルチャーはリーダーシップに代わるものです。リーダーの命令による集団行動ではなく、その企業の行動規範や、トラブルなどの重大な局面で社員1人ひとりが無意識に正しい行動を選択できるような、会社全体で共有されるノウハウやスキルでなければなりません。それがコーポレートカルチャーです』
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