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【バイラルマーケティング】BtoCとBtoB企業、それぞれのバズコンテンツやバイラル機能の使い方とは?
こんにちは、西です。
ユーザーに拡散される(バズる)ことを狙ったコンテンツを、「バイラルコンテンツ」といいます。
「拡散」というのは、Facebookの「いいね!」や「シェア」、twitterの「リツイート」など、主にソーシャルメディアの口コミ機能を利用して広まることをいいます。
バイラルとは「ウイルス性の」という意味であり、
「ウイルスに感染したかのように、次々と広まる」
といったニュアンスになります。
また、バイラルコンテンツを利用したマーケティングを「バイラルマーケティング」といいます。
バイラルマーケティングにおいては、
「ユーザーに拡散されるバイラルコンテンツ(バイラル記事)を書けば、その記事に多くのリンクが貼られ、結果的にドメイン(=サイト全体)自体のパワーも強くなり、同じサイト内の別の記事の検索順位も上がる」
という文脈で語られることが多いのですが、先日、上記の考え方に疑問を呈する実証記事がありましたので、ご紹介します。
ネタコンテンツが大ヒットしても、サイト内の他のコンテンツの検索順位には何の影響もない!?
この記事では、バイラルマーケティングに関するいくつかの事例を紹介して、最後に著者の考察を提示しています。
特定の1ページ(トップページは除いたほうがいいだろう)にリンクが大量に張られていても、サイトの他のページにSEOの効果が行き渡ることはあまりない可能性がある。とりわけ次のような場合には。
・そのページは本筋のトピックとの関連性がさほど高いわけではない
・リンクの多くが短期間に作成された
・リンクのほとんどが、自社の製品やサービス、業界に重点を置いたサイトではなく、ニュースサイトから張られている
・サイトが国内向けなのに対し、多くのリンクが外国のソースから張られている
・そのページでは、サイトの他のページとは異なるページ構造(ヘッダー、フッター、メニューなど)を採用している
・そのページとサイトの他のページとの相互リンクが少ない
Googleのアルゴリズムは非公開なので、上記はあくまで仮説に過ぎませんが、私のこれまでのバイラルマーケティングに関する経験と照らしても、納得度の高いものだと感じます。
さらに私個人としては、
「バイラルマーケティングが有効に働くかどうかは、Webサイトの種別による」
と考えており、そのことについて言及したいと思います。
そもそも、バイラルマーケティングにおいて、どのようなコンテンツが拡散されるのか?
拡散されやすいコンテンツ(バイラルコンテンツ)とは、以下のようなものとなります。
1.共感を呼ぶ記事
2.面白い記事(友人知人と”面白さ”を共有したい)
3.タメになる記事(友人知人の役に立ちたい)
ここで考えて欲しいのは、
「よいバイラルコンテンツ」かどうかは、「あなたのWebサイトのテーマに合致しているかどうか」とは関係ない、ということです。
たとえば、あなたのWebサイトのテーマが「大型業務用機器のブランディングや販促」だったとして、
「可愛い動物の感動秘話」みたいなコンテンツをバイラルマーケティングで拡散しても、あまり本来のテーマにプラスにならないだろう、ということです。
このことは直感的に理解できると思います。
「可愛い動物の感動秘話」に心を揺さぶられた不特定多数のユーザーとは、様々な属性の一般消費者でしょう。
その感動秘話をシェアしたとしても、大型業務機器とは縁もゆかりもない人がほとんどのはずです(もちろん、中には偶然にも、そのような機器を必要とする企業の担当者もいるかも知れませんが、ごく一部でしょう)。
つまり、感動秘話コンテンツが拡散したからといって、そこからリンクして大型業務機器のWebサイトを見る人は少ないでしょうし、仮にたまたま閲覧しても、「自分とは関係ない」と考え、すぐ離脱するでしょう。
どのようなテーマのWebサイトであれば、バイラルマーケティングと相乗効果があるのか
大型業務用機器のような商品は、ターゲットとなる層が限られます。
よりターゲットの広い商品・サービスのほうが、バイラルコンテンツでも効果がでる可能性があります。
一般的には、BtoB(企業が顧客)よりも、BtoC(一般消費者が顧客)の商品・サービスのほうがターゲットは広いので、相対的にバイラルマーケティングと相性がよいでしょう。
ただし、それだけでは不足していることがあります。
例として、食品メーカー(BtoC企業)のバイラルマーケティングについて考えてみましょう。
食品メーカーが動物感動秘話のコンテンツを発信したとします。確かに、動物感動秘話に心を揺さぶられる一般消費者のユーザーは、食品メーカーのターゲット層と重なります。食事をしない人はいないからです。
しかし、感動秘話に心が揺さぶられている状態と、食事のメニューを考える状態では、マインドが違います。
動物の話に感動したすぐ後に、食品メーカーのWebサイトへ移動して食品に関する情報を閲覧しよう、となることは少ないでしょう。
一方、
動物感動秘話のバイラルコンテンツを提供したのがペットショップだとして、コンテンツに感動しているユーザーに
「他にも、様々な動物に関するストーリーが読めますよ」
と自社サイトへ誘導することは、自然であり、多くのユーザーがサイトのコンテンツも楽しむでしょう。
このように、自社の本来の目的であるWebサイトのテーマと、バイラルマーケティングのテーマのベクトルを合わせることは重要です。
前述の食品メーカーの場合は、動物感動秘話よりは、「食品あるある話」のようなバイラルマーケティングのほうが確実にマッチしているはずです。
さらに商品・サービスのブランディングや販促を行う企業サイトよりも、広告収入などで成り立っているメディアサイトのほうが、よりバイラルマーケティングと相乗効果があるでしょう。
メディアサイトの記事カテゴリと関連のあるバイラルコンテンツをソーシャルメディアで発信し、「他にも、このようなコンテンツがあります」と誘導するのは、まったく自然だからです。
メディアサイトは、「サイトのコンテンツのPVを伸ばすことこそが、本来の目的(その結果、広告収入が増える)」になるので、バイラルコンテンツと非常に相性がよくなります。
一方、どうやっても難しいのは、最初に挙げたBtoBの商品・サービスです。
BtoBの商品・サービスには、一般消費者に馴染みがないものが多く、そうなると、そもそも本来のテーマと合致したバイラルコンテンツというものが作れません。
無理やり作ったとしても、一般ユーザーになじみのないテーマのコンテンツは拡散しないでしょう。
バイラルを狙わず、ターゲットを徹底的に絞る
一般消費者に馴染みのないBtoBの商品・サービスなどは、敢えて、一般消費者を切り捨てるほうが、よい結果が出ます。
そもそも、自社には向かないバイラルマーケティングには取り組まず、その代わり、自社サイトにおいて、自社の専門知識を活かしたコンテンツを徹底的に作り込むのです。
その成功事例として、私がいつも研修などで紹介する会社があります。
それが、福井のメッキ加工会社 三和メッキ工業さんです。
この会社は、各種メッキ技法の説明からメッキ加工に関するQA、動画まで、数千ページに渡って専門知識やノウハウをWebサイトで公開しています。
あまりにも専門分野過ぎて、一般の方がWebサイトを閲覧しても、正直なんのことだか分かりません。
しかし、三和メッキ工業としては、「それでよい」と割り切っているのだと思います。
同社がターゲットとしてるのは、「メッキ加工をお願いしたい」と考えている見込顧客企業(ほとんどが製造業でしょう)だけですし、そうした見込顧客企業の経営者や担当者に
「こんなに専門知識を提供できるなんてすごい!」
と、専門性の高さを評価してもらい、それが信頼に繋がれば、それだけで十分なのです。
さらに、同社のWebサイトはメッキに関するコンテンツが莫大に存在するため、検索エンジンでメッキ関連の検索をすると、たいてい、同社のWebサイトが上位に表示されます。
世間的にはマイナーなキーワードだからこそ、ある意味、検索エンジンを独占するようなことができたわけです。
メッキ関連の用語は、検索ボリュームの絶対数は少なくとも、検索するユーザーは、見込顧客になりうる人がほとんどではないでしょうか。
このように、ターゲットの狭いBtoB企業は、その狭さを逆手にとって、確実に見込みユーザーへリーチする戦略を取る方が望ましいでしょう。
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