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こんにちは、西です。
2017年4月26日、Googleは検索エンジンのアルゴリズム改善に向けて「プロジェクト・アウル・アップデート」を実施しました。
Googleは今回の取り組みの背景について、以下のように説明しています。
毎日毎分、大量のページがインターネット上に出現するようになった今日、検索エンジンを出し抜こうとする新たな手法も登場しました。この中でも、もっとも顕著なものの一つが、明らかに誤解を招く内容や、低品質かつ攻撃的なコンテンツ等によって、悪意のある情報を広める「フェイクニュース(偽ニュース)」です。このような「フェイクニュース」は、これまでにあった問題とは異なった様相を呈してはいるものの、Google が実現したいと思っていること — 「利用可能な最も信頼できるソースにもとづく、関連性の高い情報にユーザーがアクセスできるようにする」ことは依然として変わりません。必ずしも全て思ったとおりにならないこともしばしばですが、この目標を実現するために日々、努力し、改良を続けてきました。一方で、長期的に、インパクトのある形で検索を改善するために、より構造的なアプローチが必要だと考えています。
「Google ウェブマスター向け公式ブログ」(日本語版)より引用
フェイクニュースの例として、Googleは昨年問題になった「ホロコーストの存在を否定するサイト」の存在を挙げています。
昨年の一時期、「ホロコースト」でGoogle検索すると、ホロコーストを否定するようなWebサイトが検索結果の上位に表示されていました。
このようなサイトは、明らかに誤解を招く内容であり、悪意のある情報を広めるフェイクニュースである、という判断です。
「利用可能な最も信頼できるソースにもとづく、関連性の高い情報にユーザーがアクセスできるようにする」という目的に近づくために、Googleは今回の施策を実施した、と言えるでしょう。
プロジェクト・アウル・アップデート 具体的な実施内容
今回Googleが実施した具体的な内容は、以下の3点となります。
・Google検索品質評価ガイドラインの変更
・検索アルゴリズムの変更
・オートコンプリート機能や強調スニペットに対するフィードバック機能の提供
それぞれを詳しく見ていきましょう。
Google検索品質評価ガイドラインの変更
こちらは、2017年3月に実施されたガイドラインの変更のことと考えられます。
Google検索品質評価ガイドラインとは、以下のようなものになります。
Googleは検索エンジンのアルゴリズムの改良にあたって、継続的に検索結果の評価をしています。当然Googleの社内でも行っているでしょうが、外部評価者を雇用し、より客観的な見地から評価を実施しています。
この外部評価者に渡されるものが検索品質評価ガイドラインとなります。
関連記事:Google検索品質評価ガイドラインの変更について【2017年3月版】より引用
変更内容としては、
・「専門性・権威性・信頼性」を重視
・低品質コンテンツの種類を追加
が主なものとなっており、低品質コンテンツのなかには「偽ニュース」も含まれていました。
検索アルゴリズムの変更
いわゆるアップデートとは検索エンジンのアルゴリズムの変更のことを指しますので、こちらが「プロジェクト・アウル・アップデート」の本体のことと考えて間違いないでしょう。
前述のGoogle検索品質評価ガイドラインの変更で評価した内容を、実際に検索エンジンのアルゴリズムに反映させたと考えられます。
とは言え、「あるニュースが正確なものか、偽ニュースなのか」をアルゴリズムに反映させた訳ではありません(というより、そのようなことは無理でしょう)。
Webメディア「Web担当者フォーラム」の編集長が、Googleの担当者にインタビューした記事の中に、以下の発言がありました。
「情報の正確さをチェックする」そのもののアルゴリズムを含めているわけではない。あくまでも、評価者のフィードバックに応じて、不適切なページやサイトをチェックし、除外する判断材料として使うなどによって、高品質な検索結果をつくるというものだ。
参考記事:Googleは情報の正しさを判断するようになるのか? 偽ニュース対策で検索アルゴリズムを更新したGoogleのベン・ゴメス氏に聞く
以下は私(西)の所感ですが、「完全に正確な情報」というものは存在しない、と考えられます。どんなに権威のある人が書いた記事でも、曖昧な部分がまったくないとは言い切れません。
また、専門的なトピックであればあるほど、1つの事象に対して「複数の見方」があるのが一般的です。
つまり、人間でさえ「何が正しくて、何が間違い」と完全に判断できるものは、ごく一部です。このような困難な領域に、検索アルゴリズムはどのように挑戦していくのか・・・それは非常に興味があるところですが、当面は、
・人間の目視による判断
↓
・明らかにブラックなものは排除
↓
・問題ないもの、グレーなものは、一旦そのまま
というスキームで運用するのではないでしょうか。
オートコンプリート機能や強調スニペットに対するフィードバック機能の提供
まず、2つの機能の説明をします。
オートコンプリート機能
検索エンジンに検索キーワードを入力する際、途中まで入力するだけで、検索キーワード候補をいくつか表示してくれる機能です。
強調スニペット
ユーザーが検索エンジンに対し、疑問を投げかけるような検索キーワードを入力した際に、回答となるWebページが検索結果の上部に強調表示されるものです。
ちなみに、下記画像は「ウインナーコーヒーとは?」とGoogleで検索した際に、表示された強調スニペットです。このような表示を、あなたも見かけたことがあると思います。
強調スニペットの右下に、「フィードバック」と書かれたリンクがあります。
もし、強調スニペットの内容が不適切だと感じた場合、ここからすぐフィードバックページに移動することができます。
オートコンプリートにも、同じようにフィードバック機能が提供されています。
プロジェクト・アウル・アップデート まとめ
プロジェクト・アウル・アップデートの内容は以上です。
今回の偽ニュースのような、「明らかな間違い」や「悪意のあるデマ」が検索結果の上位に上がって来ることは問題ですし、それに対して、Google社も真剣に取り組もうとしていることが分かります。
しかし、前述のとおり、「何が正しいか」をGoogleの検索アルゴリズムが決定することは難しいものですし、さらに
「Googleが、それを判断して良いのか」
という問題もあります。行き過ぎると表現の自由の侵害や情報操作と取られるかも知れませんし、政治的に利用されることもあるかも知れません。
そういったセンシティブな側面もある難しい問題だけに、Google社の取り組みを今後も注視していきたいと思います。
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