ビジネスとマーケティングの上り坂
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こんにちは、西です。
先日、「人を操る禁断の文章術」という本を読みました。
いかにも怪しそうな名前の本ですよね。
著者は「メンタリスト DaiGo(ダイゴ)」、最近はあまり見かけませんが、以前は、よくテレビでお見かけした方です。
ちなみに、メンタリストの使うメンタリズムとは「行動や態度、言葉などから相手の真理を読み解き、思うままに誘導する技術」だそうです。
さて、この本。以前、書店で見かけたことはありましたが、その怪しさゆえに、私は手に取ったりしませんでした。
今回、ふとしたきっかけで、この本を、Webライティングの社内教育用に使っている会社があることを知り、興味を持って読んでみた次第です。
結論から言えば、この記事のタイトルに書いた通り、正統派のセールスライティングの本でした。
セールスライティングには、「セールス」という言葉がついていますが、だからと言って、チラシやカタログ、Webサイトなどセールスツールだけのための文章術ではありません。
仕事全般やプライベートにも使える文章術です。
なぜならば、どんな仕事にも、どんなプライベートな用件にも、文章を書く際には、すべて目的があるからです。
詳しくは後述しますが、ある目的を達成するための文章術が、セールスライティングです。
しかも、この本はメンタリズムのプロフェッショナルが書いた本だけあって、グイグイ読ませる、巧みな文章になっています。
今回は、この本の中から、気になった部分を備忘録的に書き記したいと思います。
「あなたの思う、世界最高の美女とは?」
いきなり、こんな質問から「まえがき」が始まります。
せっかくなので、このブログ記事を読んでいるあなたも、考えてみてください。
頭の中に、どんな美女の顔・姿が浮かんだでしょうか?
実はこの質問、「文章の持っている力」を実感させるためのものです。
どういうことでしょうか。
この質問をされると、人は「美女」という言葉に反応し、「その人が思う、世界最高の美女」を想像しはじめます。
思う人こそ違っても、この簡単な文章を読むだけで、誰もがみな、「その人が思う、絶対的な美女」を想像することになります。
「誰もが納得の絶対的な美女を作り出すには、文章を使って想像させるしかない」
…このように、いきなり冒頭から、読み手に「文章の持つ力」を実感させ、次のページへと誘導する構成になっています。
内容だけでなく、この本の構成までセールスライティングを実践したものになっているのは、さすがメンタリストが書いた本だけのことはあるな、と感じました。
文章のたった1つの目的、それは「今すぐ人を行動させること」
続いて「まえがき」では、セールスライティングの目的に触れます。
セールスライティングでは、決して以下のようなことが目的ではありません。
× 美しい文章を書いて、読み手に感動してもらうこと
× 役に立つ文章を書いて、読み手に満足してもらうこと
セールスライティングの唯一の目的、それは
〇 自分の望んだように、相手に行動してもらうこと
となります。
たとえば、「商品を買ってもらう」「他部署の人に、会議に参加してもらう」「デートの誘いに、OKをもらう」など、
他人に向けたすべての文章には、目的があるはずです。
そのことを、本書のタイトルでは、「人を操る」と、いかにもキャッチーな表現をしていますが、これは、著者と出版社の販売戦略によるものでしょう。
言い方を変えれば、
「人に気持ちよく行動してもらうために、配慮する」
ということになり、社会の中で生きる我々にとって、身に付けなければならない「たしなみ」とも言えます。
いずれにしても、正統派のセールスライティングとは「人に行動を起こしてもらう」ことが目的であり、そのことを冒頭から宣言していることも、本書が真っ当なセールスライティングの本であることを示す一端だと思います。
買うはずでなかった高価なものを、衝動買いさせた文章とは?
続いて本編・第1章も、いきなり質問から入ります。
Q.これは今から十数年前、アメリカの大型量販店での出来事です。
ある売り場担当者が紙オムツ売り場に「ある文章」を掲示することで、紙オムツよりも高価なまったく別の商品の売上を大幅にアップさせました。
その商品とは何でしょう?
せっかくなので、あなたも考えてみてください。
まず、ヒントとして「ある文章」とは、どんな文章だったのか?
その文章とは
「今しか見れない姿、残しませんか?」
というものでした。
担当者は、紙オムツを買いに来た顧客に、このようなセールスコピーを読ませて、顧客にある行動を起こさせることに成功したのです。
と言うわけで、ある商品とは「使い捨てカメラ」、ということになります。
確かに、可愛いわが子の紙オムツを買いに来たお父さん・お母さんが、こんなセールスコピーを見て、その横に使い捨てカメラが置いていたら、
「そうだ! うちの子の今だけの姿、写真に残さなくちゃ!」
と思い、つい一緒に購入してしまうことも多いでしょう。
このように、著者は「まえがき」に続き、本編の第一章でも、繰り返し「文章の持つ大きな力」について訴えています。
実はこれ、第4章で説明する「5つのテクニック」の1つ、「②何度も繰り返す」の実践例にもなっています。
つまり、表現を変えて「何度も同じことを繰り返すこと」も、「行動を起こさせる文章の条件」の1つということです。
書かない3原則、人を動かす7つの引き金、5つのテクニック
第1章の概論が終わると、第2章から第4章は、具体的な文書術について書かれています。
ここでも、読ませるテクニックが使われています。
「3原則」「7つの引き金」「5つのテクニック」と、目次レベルでマジックナンバーがテンコ盛りになっており、ちょっと笑ってしまいますw
それぞれの内容は後述しますが、目次に並んだマジックナンバーと気になる見出しを見ていると、ちょっと読んでみたくなる人も多いでしょう。
本を買う時に、「目次をチェックしてから、その本を買うかどうか決める」人も多いでしょうから、この目次の章立て自体が
「この本を持ってレジに並んでもらう」という行動を起こさせる
というセールスライティングを実践しているわけですね。
第2章~第4章 一口メモ
以下、第2章~第4章までの章立てを挙げていきます。
それだけだと芸がないので、私なりに一口メモを記載したいと思います。
しかし、あまり説明し過ぎると、かえってこの本の営業妨害になりそうなので、メモを追加するのは前半だけにしておきますね。
書かない3原則
あれこれ書かない
→伝えたいことを1つに絞る。「伝わる文章」より「したくなる文章」を書く
きれいに描かない
→お行儀のよい文章ではなく、読み手の感情に刺さり、感情を動かす文章を書く
自分が書かない
→相手の心をリサーチし、想像して書く
人を動かす7つの引き金
①興味
→SNSなどを使って相手の関心をリサーチし、そこから文章を展開する
②本音と建て前
→人は、建て前に縛られつつ、その実現に向け頑張っている。そのことを認めてあげ、本音の存在を肯定してあげることで、信頼を得ることができる
③悩み
→人間のなやみの9割は「HARM」。H(ヘルス)は健康、A(アンビション)は野心や夢・願望、R(リレーション)は人間関係、M(マネー)はお金。
このHARMを世代(年齢層別)に分類すると、ほぼすべての人の悩みが分かる。
見抜いた悩みの解決策を示す文章を書く
④ソン・トク
→メリットだけでなくデメリットも正直に書いて信頼を得る。そのうえで、デメリットを上回るメリットを提示し、行動してもらう。
※以下は見出しのみ
⑤みんな一緒
⑥認められたい
⑦あなただけの
5つのテクニック
①書き出しはポジティブに
②何度も繰り返す
③話しかけるように
④上げて、下げて、また上げる
⑤追伸をつける
いかがでしたか?
各章の見出しを読んで、マーケティングに詳しい方であれば
「ああ、あのことか」
と思い浮かぶものもあったでしょう。逆に
「どんな内容だろう」
と気になった方は、ぜひ一度、本書をチェックしてみてください。
「人を動かす文章」を書きたい方には、必ず役に立つと思います。
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